• 糖尿病

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    尿に糖が出るので糖尿病という名前がついていますが、尿に糖が出るかでないかはあまり重要ではありません。問題なのは血液の糖の値、つまり血糖値です。
    通常の人より血糖が高く、その結果糖があふれて尿に出るのであって、尿の中の糖の多さは一つの目安にはなりますが、この病気の本態ではありません。

    食事をとったり、お菓子を食べたりした後は誰でも血糖が上がりますが、正常な人ではすい臓からインスリンというホルモンが出て、血糖を速やかに低下させます。このインスリンの出が悪い場合、または出ていても効きが悪い場合(感受性の低下といいます)に血糖が上昇します。正常な人では空腹時で血糖は100前後、食後でも150程度です。

    糖尿病の原因として、遺伝的なものは確かに一部ありますが、絶対的なものではありません。それよりも、食べ過ぎ、飲みすぎ、肥満、運動不足、不規則な食生活などのいわゆる生活習慣の乱れによるところが大きいと考えられています。昔、食物が今ほど豊かでなく、車にもあまり乗らなかった頃はあまり糖尿病の人はいませんでした。しかし、現代の日本では約600万人の人が糖尿病もしくはその予備軍と考えられています。

    糖尿病は合併症が出るレベルでなければ、痛くもかゆくもありません。これも血液を採って検査してみなければわからないのが一般的です。何ともないからといって放っておく人が特に若い人に多く見うけられます。
    しかし、糖尿病を放置しておくと、血管がボロボロになってしまう、その正体は「血管病」なのです。細い血管がやられて目が見えなくなる網膜症、腎臓の機能が低下して透析をしなければならなくなる腎症、神経の機能が低下して感覚がなくなったり,ビリビリしびれる神経障害が有名な3大合併症です。
    しかしそれよりももっと恐ろしいのは、太い血管の動脈硬化を進行させ、脳梗塞や心筋梗塞などを非常に起こしやすくする事です。糖尿病の病歴が長い人、コントロール不良の人の血管造影検査をしてみると、はっきり言って「ボロボロ」といった状態の血管であることが少なくありません。

    このような合併症を防ぐためには、しっかりと糖尿病の治療をすることが大切です。
    まずしっかりと検査を受け、必要であれば飲み薬、あるいはインスリンホルモンの注射薬を使用します。毎日自分で注射をするというとかなり恐ろしい治療のように思うかもしれませんが、針も非常に細く、ご自身で適切に注射できるようになればほとんど痛くはありません。最近はペン型の注射器が主流で、操作も簡単になっています。また、定期的に血糖の検査をして、良い状態であることを確認していかなければなりません。

    HbA1c(ヘモグロビンエイワンシー)という検査項目がありますが、これは過去1-2ヶ月間の平均の血糖値とよく相関するというものです。患者さんの中には、医者に来る直前だけ頑張って食事を減らしたりして、何とか血糖値をよく見せようとする人もいます。事実検査をしてみると血糖値はまずまずなのですが、このHbA1cを測ってみるとかなり高いということがあり、このような場合にはいつもはまじめに節制していないという事がよくわかります。

    糖尿病そのものは循環器の病気ではありませんが、血管をボロボロにするという意味では循環器と深く結びついています。血圧、コレステロール、糖尿病、肥満、タバコなどいろいろなものが相互に結びついて動脈硬化は進行します。
    最近では「メタボリック・シンドローム」として厚生労働省もその予防に乗り出しています。正しい生活を心がけるとともに、これらの生活習慣病の治療をしっかりと続けていくことも健康で長生きできる秘訣です。


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