以前は160/95以上が高血圧、140/90未満が正常血圧、その間は境界域とされており、
血圧の治療の目標は140/90程度に置かれていましたが、最近はWHOや
ISH(国際高血圧学会)、米国高血圧合同委員会の報告などでも、心臓や脳に障害を
起こしやすいとの観点から、目標血圧はもっと低くしたほうが良いということになってきています。
具体的には、130/85以下にすることが望ましいと考えられています。
ただ、血圧は変動しやすいもので、医者の顔を見ただけで20も30も上がってしまう人もいます。
また夜勤や中央市場に勤務など不規則な生活をとられている方も変動しやすいのです。
そのため、自宅に血圧計がある方には、自宅で朝(起床から朝ごはんまで)と
夜(夕食から寝るまで)の2回測定してもらい、その値も参考にします。
さらに肥満、運動不足、ストレス、不規則な生活なども高血圧の原因になります。
もちろん塩分は控えめにすることが重要です。
いろいろやってもなかなか下がらない場合には、薬を飲んでもらいます。
「血圧の薬は一度飲んだら一生飲まなくてはいけない」と信じている人がいますが、
そのようなことはありません。血圧が低めで安定してきたら、薬の量を減らしたり、
やめたりすることももちろん可能です。
しかし、かぜ薬のように1週間くらいでやめてしまっては何の意味もありません。
「血圧を正常に保つことは心臓や脳の病気から守る保険」のようなものです。
血圧の薬を飲んでからその効果を判定するには、通常2ヶ月程度はかかります。
血圧の薬による治療は半年、あるいは年単位といった長い期間で考えていかなくてはなりません。安定してきたからといって、自分の判断で薬を勝手に止めてしまうのは非常に危険です。
やめたとたんに血圧が急に上がって、とんでもないことになる可能性があります。
「健診で血圧が高い」といわれたら、まず医療機関でもう一度血圧を測ってください。
その時に検診の結果、できれば以前の結果も一緒に持っていってください。そうすることによって、経過が良くわかり、検査や治療方針が立てやすくなります。
昔から高いからとか、親も高いからと気にしないで放っておく方が結構いますが、親がどうであろうと、いつから高かろうと、高血圧を放っておくことは危険です。
動脈硬化が進み、脳卒中や心臓病などの重大な病気になる可能性が高くなります。
また、自宅に血圧計がある方は、時々自分で測ってみてください。
体重を測るように、定期的に血圧を測定し、普段の自分の血圧の値を知っておくことは非常に大切なことです。
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